何を、いつ、
どの順で学ぶか。
パルクールの指導者・子どもの運動指導者・スポーツトレーナーとして本気で高みを目指す人のための、専門用語つきの詳細ロードマップです。ティーチングとコーチングの理論、運動学習、解剖学、運動生理学、バイオメカニクス、スポーツ心理学、安全管理、事業の基礎。0〜3ヶ月、4〜6ヶ月、7〜12ヶ月、2年目、3年目以降の5段階に分け、各段階で「学ぶ用語(説明つき)」「現場の課題」「到達チェック」を表にしました。後半は分野別の用語集です。
全体像と考え方は教える人が、学ぶべきこと(6つの力と12の領域)に書いています。この記事はその実行計画版です。印刷して手元に置く使い方を想定して、図やイラストは入れていません。
順番には、
理由がある。
最初に安全と関係づくり、次に運動学習と伝え方、その次に体の科学、最後に設計と事業。そして全段階に並行して、パルクール・器械体操・トリッキングという「競技そのものの知識」(技の体系・用語・進度・採点・文化)を積み上げます。この順番は、現場で先に必要になる順であり、前の段階が次の段階の前提になる順です。たとえば「外的焦点」(注意を体の外に向けさせる指示)は、「認知負荷」(作業机の容量)を知っていると使い方が変わり、「成長軟骨」を知っていると「年齢ごとの高さの上限」の意味が変わります。
各表の列は4つ。学ぶ用語には、その段階で知っておくべき専門用語を、短い説明つきで並べました。現場の課題は、学んだことをその月のレッスンで試す宿題。到達チェックは、次の段階へ進んでいいかの目安です。到達チェックが満たせていなければ、期間を延ばしてください。期間は目安で、週1回の現場を前提にしています。週3回なら半分の期間で進めます。
PK Guildの講師育成(研修 → アシスタント講師 → メイン講師の3段階マニュアル)と対応させると、0〜12ヶ月がアシスタント講師の期間、2年目がメイン講師への準備期間、3年目以降がメイン講師(責任職)の期間に当たります。アシスタント講師は「楽しく働く」ポジションなので、0〜12ヶ月の表に「設計」や「事業」が入っていないのは意図的です。
最初の3ヶ月は、
安全と名前。
この段階の目的は、「現場にいて危なくない人」になることと、「子どもに顔と名前を覚えてもらう人」になることです。専門知識は少なくていい。代わりに、補助の手の位置と、全員の名前と、自分の着地だけは完璧にします。
| 領域 | 学ぶ用語(説明つき) | 現場の課題 | 到達チェック |
|---|---|---|---|
| 安全(リスク管理) | スポッティング補助。回転の軸(腰・骨盤)に近い部位を支え、頭頸部を守る技術。技ごとに手の位置と立ち位置が決まっているハインリッヒの法則1件の重大事故の背後に29件の軽微な事故、300件のヒヤリハットがあるという経験則。ヒヤリハットを記録する根拠リスクアセスメント危険の洗い出し→起きやすさと重さの評価→対策の順で、事前に危険を減らす手順 | 前宙・バク転・ヴォルトの補助位置を先輩講師の横で毎回確認。レッスン後にヒヤリハットを1行書く | 3技の補助で「手の位置・立ち位置・抜くタイミング」を言える。ヒヤリハットが月に3件以上書けている |
| 応急手当 | BLS(一次救命処置)心肺蘇生とAEDの使用。消防の普通救命講習で数時間で学べるPOLICEケガの初期対応の頭文字。Protection(保護)・Optimal Loading(適切な負荷)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)。旧RICEの「安静」を「適切な負荷」に置き換えた考え方脳震盪の観察頭を打ったあとの意識・記憶・めまい・吐き気・反応の遅れを見る。疑いがあれば当日は運動を止め、保護者と医療機関へ | 普通救命講習を受講。教室の救急箱と連絡手順を確認する | AEDの場所と使い方を即答できる。「頭を打った子を見たら何をするか」を手順で言える |
| 心理(関係づくり) | 心理的安全性失敗しても責められないとメンバーが感じている状態。挑戦と報告が増える土台関係性(自己決定理論の3要素のひとつ)「ここに居場所がある」という感覚。名前を呼ぶ、全員に声をかける、応援を仕事にするピグマリオン効果指導者の期待が相手の行動に影響する現象。「この子はできない」と思った瞬間に、その通りになりやすい | 全員の名前を1週目で覚える。毎レッスン全員に1回は声をかける。「いちばん嬉しそうだった子」を毎回書く | クラス全員の名前と「今の課題」を即答できる。保護者の顔と名前が一致する |
| 実技(自分の体) | デモンストレーション見本。全体→1点→全体の順で見せる。観察学習(人は見て真似て学ぶ)の入口着地の衝撃吸収つま先→足裏→膝→股関節の順に曲げ、止まるまでの時間を長くして力を小さくする。「音を消す」の中身 | 自分の練習を週1回続ける。自分の着地を動画で見て、音と膝の向きを確認する | 静かな着地・PKロール・基本5技を、子どもの前で安定してデモできる |
| 競技知識(パルクールの基礎) | 技の6系統着地・受け身/ジャンプ/ヴォルト/クライム/バランス・バー/フリップ系。生徒の技を「どの系統の何か」で呼べるようにするヴォルトの名前ステップ・スピード・レイジー・ターン・リバース・ゲート・ダッシュ・コング(モンキー)・キャッシュ(コング+ダッシュ)。手のつき方と足の抜き方で分類プレシジョン / キャットリープ(アームジャンプ) / ティックタック / ラシェ狙った場所に両足で止まる跳躍/壁の縁に手でぶら下がる跳躍/壁を蹴って方向を変える/バーからバーへ振り移るトレーサー / アール・デュ・デプラスマン / フリーランニング実践者の呼び名/「移動の芸術」という別名/英語圏で2003年に生まれた呼称。由来を知ると生徒の質問に答えられる | 技一覧(6系統41技)を自分の体で通す。レッスンで出た技を毎回「系統+名前」でメモする | 生徒の動きを見て、系統と技名を即答できる。基本5技+ヴォルト8種のデモができる |
| ティーチング(型) | ティーチングとコーチングの違いティーチング=答えを教える・示す。コーチング=問いで相手の中から引き出す。初心者と幼児にはティーチングの比率が高く、上達するほどコーチングへ移るスモールステップ課題を小さく分け、1段ずつ成功させる。1段の幅は「9割できる」程度プロンプトとフェイディングプロンプト=成功のための手がかり(目印・補助・声)。フェイディング=それを少しずつ減らして自立させる | メイン講師のレッスンで「どこで段を切っているか」「どの手がかりを減らしているか」をメモする | 1つの技を5段階以上のスモールステップに分解して書ける |
この段階で読むなら、救命講習のテキストと、所属する教室のマニュアルです。本よりも「先輩の横に立つ時間」が学びの中心です。
説明を減らすと、
上達が見える。
楽しいレッスンの空気が作れるようになった頃、「上達させたい」という欲が出てきます。ここで運動学習の基礎を入れると、指導の言葉が一気に変わります。この段階の最大の課題は「言わない練習」です。
| 領域 | 学ぶ用語(説明つき) | 現場の課題 | 到達チェック |
|---|---|---|---|
| 運動学習(基礎) | 学習の3段階(フィッツとポズナー)認知段階(考えながら動く)→連合段階(動きがまとまる)→自動化段階(考えずに動く)。段階で指示の量を変えるKRとKPKR=結果の知識(「跳べた/届かなかった」)。KP=パフォーマンスの知識(「膝が内に入った」)。初心者はKRを本人が見られるように環境を作り、KPは1つに絞る全習法と分習法技を通しで練習する(全習)か、部分に分けて練習する(分習)か。流れが大事な技は全習、危険な局面は分習スキャフォールディング(足場かけ)本人の力では届かない課題に、一時的な支え(補助・目印・簡易化)を置き、できたら外す。ヴィゴツキーの「発達の最近接領域」(一人ではできないが助けがあればできる範囲)を狙う考え方 | 子どもごとに「今どの段階か」を記録に書く。フィードバックを「1つだけ・止めてから」に制限してみる | レッスン後に、生徒3人の「段階」と「次の1段」を言える |
| 解剖学(基礎) | 骨格筋・腱・靭帯筋肉は力を出す。腱は筋肉と骨をつなぎ、バネとして働く。靭帯は骨と骨をつなぎ関節を安定させる。強くなる速さは筋肉>腱>骨の順に遅い関節可動域(ROM)関節が動く範囲。足首・手首・股関節の可動域が狭いと着地と手つきでケガをしやすい成長軟骨(骨端線)子どもの骨の端にある軟骨層。ねじり・剪断・反復圧迫に弱い。ここが傷むのが骨端症(かかとのシーバー病、膝のオスグッド病など) | 主要な関節と筋肉の名前を、自分の体を触りながら覚える。生徒の「かかとが痛い」「膝が痛い」を骨端症の可能性として聞く | 「膝が内に入る着地が危ない理由」を関節と靭帯の言葉で説明できる |
| 心理(動機づけ) | 自己決定理論人が自分から動き続けるには自律性(自分で選ぶ)・有能感(できるようになる)・関係性(居場所)の3つが要るという理論。内発的動機づけ(楽しいからやる)を育てる設計の土台内発的・外発的動機づけ内発=活動そのものが報酬。外発=ごほうび・称賛・順位。外発を使いすぎると内発が下がることがある(アンダーマイニング効果)フロー挑戦の難しさと自分の技能が釣り合い、時間を忘れて没頭する状態。難しすぎれば不安、易しすぎれば退屈 | 毎レッスン、子どもに「2択の選択権」を1回渡す。難しすぎ/易しすぎのサインを観察する | 「やる気がない子」を、3要素のどれが欠けているかで説明できる |
| 競技知識(器械体操の基礎技術) | 正式名称バク転=後方倒立回転跳び、バク宙=後方宙返り、前宙=前方宙返り、ハンドスプリング=前方倒立回転跳び、ロンダート=側方倒立回転跳び1/4ひねり姿勢の3種類抱え込み(タック)・屈身(パイク)・伸身(レイアウト)。回転の速さと難度に関わる倒立(ハンドスタンド)体操の全ての土台。肩・体幹・手首で体重を支える姿勢。ヴォルトの手つき・ウォールフリップ・キャストに転移する段階練習(ドリル)と補助の体系後ろ跳び→補助つき→マットの高さを下げる→一人で。マット・斜面・バネ床・トランポリンで高さと勢いを調整。補助の手の位置と抜くタイミングが技ごとに決まっている | 自分の倒立を毎日1分。バク転・バク宙の段階練習を補助つきで自分が受ける側として体験する | 倒立が10秒止まる。バク転の段階練習を5段階で組み、補助の手の位置を言える |
| ティーチング(伝え方) | 外的焦点注意を体の部位(内的)ではなく、体の外の結果や目印(外的)に向けさせる指示。「膝を曲げて」より「音を消して」「あの線に乗って」。学習も実行も良くなることが繰り返し報告されているボディパートダイレクションPK Guildの用語。脳に手順を説明するのではなく、体が「そう動くしかない」状況と一言を与える指導。「それしかない命令」認知負荷理論ワーキングメモリ(作業机)を超える情報を与えると学習が止まるという理論。説明は短く、1つずつ、順番に | 自分の指示を録音し、「体の部位」を言った回数を数える。全部「結果・目印・音」に言い換える | 1レッスンの修正指示を「1技1つ・体の外」にできる |
読むなら、運動学習(モーターラーニング)の入門書を1冊通読。解剖学は図の多い入門書を、自分の体を触りながら。心理は自己決定理論の解説を1本。
「なぜ」を、
力学と年齢で言える。
レベル2(空気を操る)に入る時期です。練習の並べ方を設計し、子どもの宙返りの失敗を力学で読み、成長期の子の課題を下げる判断をする。保護者に「なぜそうするのか」を、感覚ではなく理由で説明できるようになる段階です。
| 領域 | 学ぶ用語(説明つき) | 現場の課題 | 到達チェック |
|---|---|---|---|
| 運動学習(応用) | 文脈干渉効果同じ技を続けて練習(ブロック練習)するより、複数の課題を混ぜて練習(ランダム練習)する方が、練習中の出来は悪くても後に残る学習が大きい現象変動練習距離・高さ・方向・速さを毎回変えて練習する。パルクールの「毎回地形が違う」構造そのもの転移ある練習で得た力が別の課題で使えること(正の転移)。逆に邪魔になることもある(負の転移)。「着地→全ての技」は正の転移の典型暗黙学習と再投資言葉で手順を意識せずに覚えた動き(暗黙学習)は、プレッシャー下で崩れにくい。逆に言葉で覚えた動きは、緊張すると手順を再点検してしまい崩れる(再投資) | メイン課題の箱の高さ・距離・順番を毎回変える。「言わない」練習をする | ブロック練習とランダム練習を、目的で使い分けて設計できる |
| バイオメカニクス(基礎) | 力積と運動量衝撃力×時間=運動量の変化。同じ落下でも時間を長くすれば力は小さい。着地・ロール・マットの原理重心と支持基底面重心(体の質量の中心)が支持基底面(足の裏が作る範囲)の上にあれば安定。バランス・プレシジョンの原理慣性モーメントと角運動量保存体を小さく丸めるほど回転は速くなる。空中では角運動量が保存されるので、回転の速さは「形」で変える。「もっと強く」ではなく「小さく」床反力床が体を押し返す力。踏み切りと着地で最大になる。腱と骨への負荷の正体 | 生徒の宙返りを動画で見て「どこで小さくなっているか」を指摘する。着地の「時間」を見る | 回りきれない宙返りの修正を、力学の言葉で説明し、指示は一言にできる |
| 発達(年齢) | スキャモンの発育曲線臓器ごとの発育の速さを表した曲線。神経系は幼少期に早く成熟し、生殖器系は思春期に伸びる。「幼児期は動きの種類を増やす」の根拠として引かれるが、「この時期を逃すと手遅れ」までは言えないPHV(身長成長速度のピーク)身長がもっとも速く伸びる時期。前後で体の比率が変わり、一時的に動きがぎこちなくなる。骨端症が増える時期でもあり、回転・高さ・反復の上限を下げる早期専門化幼少期から1競技だけを長時間行うこと。使いすぎによる障害とバーンアウトの率が上がると報告されている。多様な動きを保証する根拠長期競技者育成(LTAD)年齢・成熟度に応じて鍛える内容を段階化する考え方。「黄金期」のような決めつけには批判もあり、個人差を前提に使う | 生徒の身長の伸びを3ヶ月ごとに意識する。急に伸びた子の課題を下げる | 年齢ではなく「成熟度」で課題を変える判断ができる |
| 競技知識(トリッキング=アクロバット) | 技の3分類キック系(540・720・トルネード)/フリップ系(ゲイナー=片足踏み切りの後方宙返り、ウェブスター=片足踏み切りの前方宙返り、エアリアル=手をつかない側転)/ツイスト系(Bツイスト=バタフライツイスト、コーク、フルツイスト、ラズ)トランジション技と技のつなぎ方。スイングスルー・ポップ・パンチ・バニッシュ・キャリースルー。どの足で降りてどの足で入るか(スタンス)が決まっているコンボ技を連続させた一連の流れ。トリッキングの評価単位。パルクールのFLOWとは「移動を伴わない」点が違う進度の典型側転→エアリアル、ロンダート→バク転→バク宙→フルツイスト、Bキック→Bツイスト→コーク。ひねりは回転が安定してから、片足踏み切りは両足の後 | アクロバットの技一覧の進度を自分で辿る。生徒のひねり技を「回転が安定しているか」で見て、順番を守らせる | 3分類×3技ずつ名前と進度を言える。ひねり系の「まだやらせない」判断を根拠つきで言える |
| ティーチング(デモと問い) | 観察学習(モデリング)人は他者の行動を見て学ぶ。見本は「上手すぎる」より「少し上」の方が真似しやすいこともあるGROWモデルコーチングの問いの型。Goal(目標)→Reality(現状)→Options(選択肢)→Will(やること)。「次、どこを変える?」の背景自己統制フィードバック本人が欲しいときにフィードバックをもらう形式。与えられるより学習が進むことが報告されている | 問いかけで修正させる技を1つ決め、1ヶ月続ける。デモを「全体→1点→全体」で見せる | 1つの技について、答えを言わずに3つの問いで修正に導ける |
読むなら、バイオメカニクスの入門書の「力積」「重心」「角運動量」の章、発達の教科書の「成長期」の章。国際体操連盟(FIG)の年齢別育成プログラムは英語ですが、年齢と高さの線引きの考え方を知るのに価値があります。
生理学と心理学で、
見えないものを見る。
2年目は、目に見えないものを扱う年です。疲労(生理学)、恐怖(心理学)、感覚(神経系)。「なんとなく今日は危ない」を、言葉と根拠にするための知識を入れます。設計と評価もここから始まり、自分のレッスンを録画して見る習慣を作ります。
| 領域 | 学ぶ用語(説明つき) | 現場の課題 | 到達チェック |
|---|---|---|---|
| 運動生理学 | 伸張-短縮サイクル(SSC)筋肉と腱が素早く伸ばされてから縮むと、大きな力が出る仕組み。ジャンプ・バク転の踏み切りの正体。腱の弾性を使う筋収縮の3種類短縮性(縮みながら力を出す=立ち上がる)、伸張性(伸ばされながら力を出す=着地で沈む)、等尺性(長さを変えず力を出す=支える)。着地は伸張性の仕事エネルギー供給系ATP-CP系(数秒の全力)・解糖系(数十秒)・有酸素系(長時間)。1本のランと60分のレッスンでは使う系が違う。疲労の見方の土台超回復・漸進性過負荷・特異性・可逆性トレーニングの原則。負荷をかけて休むと前より強くなる(超回復)。少しずつ増やす(漸進性)。鍛えた動きが強くなる(特異性)。やめると戻る(可逆性)RAMPウォームアップの構成。Raise(体温を上げる)・Activate(使う筋を目覚めさせる)・Mobilise(関節を動かす)・Potentiate(本番に近い強度へ) | 60分の負荷を「踏み切り回数×高さ」で見積もる。アップをRAMPで組み直す | 疲労で大技を止める判断を、生理学の言葉で保護者に説明できる |
| 解剖学(応用) | 固有受容感覚関節や筋肉にあるセンサーが伝える「体の位置と動き」の感覚。目を閉じても手の位置が分かるのはこれ。バランスと着地の精度の土台前庭系内耳にある平衡感覚の器官。回転・加速を感じる。宙返りの「どこにいるか分かる」感覚筋紡錘とゴルジ腱器官筋肉の長さを感じるセンサー(筋紡錘)と、腱の張力を感じるセンサー(ゴルジ腱器官)。急な伸張で筋が反射的に縮む、強い張力で力が抜ける、という反射の仕組み運動連鎖(キネティックチェーン)足→膝→股関節→体幹→腕と、力が関節をまたいで伝わる考え方。踏み切りの弱さの原因が足首ではなく股関節にあることがある | 生徒の「怖さ」を前庭系・固有受容感覚の未発達として見る。回転感覚の段階練習を組む | 宙返りの「どこで目を開けるか」を感覚器の言葉で説明できる |
| 心理(応用) | 自己効力感「自分にはできる」という見込み。4つの源泉=達成経験・代理経験(他者の成功を見る)・言語的説得(励まし)・生理的状態(心拍・緊張の解釈)。達成経験がもっとも強い成長マインドセット能力は努力と方法で伸びるという信念。能力そのものを褒めると固定マインドセットに傾きやすい。効くのは「何をどう変えたか」を具体的に言うこと覚醒水準と逆U字緊張や興奮(覚醒)が低すぎても高すぎてもパフォーマンスは落ち、中間で最大になるという考え。最適な範囲は人によって違う(個人差を重視するモデルもある)段階的エクスポージャー怖い対象に、低い段階から少しずつ慣れていく方法。高さを下げる、補助を増やす、「やめる」を選べる状態にする。恐怖で体が固まる(フリーズ)状態では学習は進まない帰属成功・失敗の原因を何のせいにするか。「才能」(変えられない)ではなく「方法・努力」(変えられる)に帰属させる言葉を選ぶ | 怖がる子に対して、段階を3つ作って1ヶ月で1段ずつ上げる計画を立てる | 「怖い」と言う子に、原因と段階を保護者に説明できる |
| 競技ルール | FIGスピード2レーン並走・1000分の1秒計時・チェックポイントを飛ばしたまま完走は失格・コースは大会ごとに一点物FIGフリースタイル / ジュニア技制限技表に基づく難度と、実施・構成の採点。ジュニア(14〜16歳)は2回宙禁止・ひねり2回まで・高さ2.0m。日本の子ども部門はキッズ2m・ジュニア2.5m、宙返り1回まで流宴のD・E・FD=上位2技の難度合計(難易度表0.1〜4.5)、E=10点からの減点、F=流れ6項目×各3.0=最大18.0。Fを最も重く配点体操のDスコア・EスコアD=難度+構成要求+組み合わせ加点、E=10点からの減点。パルクールの採点はこの枠組みに「流れ」を足したものトリッキングの審査バトル形式が中心。難度・クリーンさ・スタイル・コンボ構成を審査員が比較。日本の全日本大会にはジュニア部門と技制限がある | 流宴の採点規則を読み、生徒のランを自分でD・E・F採点してみる。体操の採点規則の「減点表」に目を通す | 選手志望の生徒の保護者に、3競技の評価の違いと子どもの技制限を説明できる |
| 設計と評価 | PDCA計画→実行→評価→改善の循環。評価に「記録」がないと回らないリフレクション(省察)行為のあとに振り返る(行為についての省察)だけでなく、行為の最中に考えを修正する(行為の中の省察)。レベル2の「レッスン中に頭を整理する」はこれ形成的評価と総括的評価形成的=途中で学習を調整するための評価(毎回の観察)。総括的=区切りでの到達評価(レベルアップテスト)。両方要るティーチングスタイルのスペクトラム指示型から発見型まで、指導者と学習者のどちらが判断するかで並べた分類。幼児は指示型、上級者ほど発見型へ、と使い分ける | 60分を設計し、終了後に「計画とのズレ」を書く。月1回、自分のレッスンを録画して見る | レベルアップテストの結果から、次の3ヶ月の課題を全員分組める |
読むなら、運動生理学の教科書(トレーニングの原則とエネルギー供給系)、スポーツ心理学の入門書(自己効力感・不安・動機づけ)、コーチング学の「省察」の章。トレーナー系の資格(NSCA・JATIなど)の学習範囲は、この段階の生理学・解剖学とほぼ重なります。
責任職として、
教室を預かる。
メイン講師(責任職)の段階です。応用バイオメカニクスでケガの癖を読み、環境で動きを引き出す設計をし、安全文化と事業を回し、次の指導者を育てる。「自分がいなくても回る」状態を作ることが、この段階の到達点です。そしてこの段階でいちばん重要なのは、マネジメントレイヤー(下を育てる役割)に回ることです。自分の判断を他人に説明する回数が桁で増え(アウトプット)、相手一人ひとりに合わせた教え方を開発させられ(指導の顔)、言語化しまくることで自分がいつもやっていることがさらに鮮明になる。自分の指導力を上げる方法として、これ以上効率のいいものはありません。アシスタント講師のまま現場を楽しみ続ける選択も、もちろんあります。
| 領域 | 学ぶ用語(説明つき) | 現場の課題 | 到達チェック |
|---|---|---|---|
| バイオメカニクス(応用) | 投射運動空中の体は放物線を描く。飛距離は初速と角度で決まり、空中で軌道は変えられない。プレシジョンの踏み切りで全てが決まる理由トルクと関節モーメント回転させる力。着地で膝が内に入ると、膝関節に横方向のモーメントがかかり靭帯を痛める。「膝をつま先の向きに」の根拠スティフネス(剛性)体がバネとしてどれだけ硬いか。硬いほど速く反発し、柔らかいほど衝撃を吸収する。速く走るときと、高所から降りるときで使い分ける動的膝外反(ニーイン)着地や踏み切りで膝が内側に入る動き。前十字靭帯損傷の危険因子として知られる。女子で起きやすいと報告されている | 生徒の着地をスロー動画で見て、膝の向き・体幹の傾き・接地時間を評価する | ケガにつながる着地の癖を3つ、力学の言葉で説明し、修正ドリルを組める |
| 運動学習(設計) | 意図的練習目的を持ち、フィードバックがあり、自分の限界の少し上を狙う練習。「1万時間」として広まった研究の本来の主張は、時間の量ではなくこの質差分学習あえて毎回少しずつ違う動きで練習し、体に最適解を探させる方法。「正しいフォーム」を1つ押しつけないアフォーダンス環境が行為を「誘う」性質。箱の高さ・マットの位置が、自然とある動きを引き出す。制約主導アプローチ(個人・課題・環境の制約を調整して望む動きを出す)で使う概念オーバーラーニングできるようになった後も練習を続けること。自動化が進み、プレッシャー下で崩れにくくなる | 生徒ごとに「少し上」を毎回設定する。箱・マット・目印の配置で動きを引き出す練習を設計する | 「言葉で直す」より「環境で直す」設計を、1レッスンで3つ以上入れられる |
| 倫理・安全文化 | セーフガーディング子どもを虐待・ハラスメント・事故から守るための組織的な仕組み。方針・研修・通報経路・記録グルーミング信頼関係を利用して子どもに近づく行為。1対1の密室を作らない、連絡は組織の窓口で、などの予防原則インフォームド・コンセント説明を受けたうえでの同意。補助で体に触れること、撮影、WS参加のリスク説明安全文化「気をつけて」ではなく、記録・共有・改善が習慣になっている組織の状態。ヒヤリハットが多い教室ほど安全なことがある(報告されているから) | 教室の安全ルールと通報経路を文書で確認する。異性の子への補助の原則を言語化する | 新人講師に、教室の安全ルールを30分で説明できる |
| 事業(基礎) | ファネルとコンバージョン率認知→体験→入会→継続の流れと、各段階で次へ進む割合。体験率が高くて継続率が低い教室=レベル1止まりのサインLTV(顧客生涯価値)1人の生徒が通う期間全体で生む価値。継続率が上がると大きく伸びる。「上達させる」は事業の数字にも直結する業務委託・確定申告PK Guildの講師は業務委託契約。報酬は自分で管理し、年間の収入によっては確定申告が必要。契約書を読む力も「高みを目指す」の一部 | 自分のクラスの体験率と3ヶ月継続率を出す。WSを1本企画する(企画・集客・開催・振り返り) | 数字で自分のクラスの課題を1つ言える。WSの収支を説明できる |
3年目以降 ── 統合と、育てる側へ
| 領域 | 学ぶ用語(説明つき) | 現場の課題 | 到達チェック |
|---|---|---|---|
| 運動学習・心理(統合) | エコロジカル・ダイナミクス人・課題・環境の相互作用の中で動きが生まれるという見方。「正しいフォームを教える」から「動きが生まれる状況を設計する」へ認知的・身体的不安不安には頭の中の心配(認知的)と、心拍・震え(身体的)がある。対処が違う。前者は注意を外に向ける、後者は呼吸と段階集団凝集性と社会的促進チームのまとまり(凝集性)と、人がいることで単純な課題の成績が上がる(促進)・難しい課題は下がる現象。順番待ちの空気、見られている状態の設計に使う | 自分の指導を「状況の設計」として言語化する。クラスの空気を意図的に変える実験をする | 「なぜそのレッスンが上達したか」を、学習・力学・心理の3つの言葉で説明できる |
| マネジメント(育てる側) | マネジメントレイヤー下を育てる役割。新人の指導担当・研修担当・マニュアル作成・新教室の開講。自分の指導力をもっとも効率よく上げる立場でもある教えることで学ぶ効果(プロテジェ効果)人に教えるつもりで学ぶ・実際に教えると、理解と記憶が深まる現象。自分の判断を他人に説明する回数が増えるほど、自分の指導が鮮明になる暗黙知と形式知言葉にできないが体が知っていること(暗黙知)と、言葉・手順になったこと(形式知)。育てる側に回ると、暗黙知を形式知に変える作業(言語化)が強制されるメタ認知自分の思考や判断を、一段上から観察すること。他人の失敗を見ると、自分が無意識にしていた判断が見える認知的徒弟制熟練者が見本を見せ(モデリング)、横で助言し(コーチング)、足場を置き(スキャフォールディング)、考えを言葉にさせ(発話)、振り返らせ(省察)、自分で探らせる(探求)という、技能を伝える6つの方法シンクアラウド(考えを声に出す)判断の最中に、考えていることをそのまま声に出す方法。新人に自分のレッスンを見せながら「今あの子を止めたのは疲れが見えたから」と言う。暗黙知がいちばん速く言葉になる | 週1回、新人のレッスンを見て「良かった点1つ・変える点1つ・次回見る点1つ」を言葉で返す。自分のアップか補助手順のマニュアルを1ページ書く。相手のタイプ(感覚派・理屈派・褒められて伸びる・放っておいてほしい)に合わせて教え方を変える | 新人3人に、それぞれ違う教え方で同じ内容を伝えられる。自分のレッスンを別の講師が再現できる。「指導の顔」が3つ以上ある |
| 設計(組織) | マニュアル化と仕組み化属人的な判断を手順に落とし、自分がいなくても回る状態を作る。レベル3の「子どもが自分で回せるアップ」はこれメンタリングとコーチ・ディベロッパー指導者を育てる役割。自分の経験を言語化し、他者の指導を観察して言葉で返す。指導者の最終段階の仕事 | 新人講師の研修を担当する。自分のレッスンのマニュアルを書く | 自分のレッスンを別の講師が再現できる |
| 事業(発展) | 単価と稼働率1レッスンの報酬×レッスン数。メイン講師が収益を作る手段=WS自主開催(利益の50%)、パーソナル、新教室開講。跳塾のメイン講師として質を担保できれば週3日で月収26万円からブランディング選ばれる理由を一貫して伝えること。顔写真を大きく載せない、世界観より分かりやすさ、といった方針も含む | 新教室の開講か、自分のWSシリーズを運営する。採用に関わる | 教室1つの運営(集客・指導・安全・収支)を一人で説明できる |
| 学び続ける | 査読論文の読み方対象(何歳の誰が何人)・期間・測定したもの・比較対象を見る。1本で結論を出さない。「繰り返し報告されている」かを確認するエビデンスの階層専門家の意見<1本の観察研究<対照群のある実験<複数研究のまとめ(系統的レビュー)、の順に信頼度が上がる考え方。SNSの「研究によると」はこの階層で位置づける | 3ヶ月に1領域、本1冊・講習1回・論文3本 | 自分の指導の根拠を、信頼度の階層つきで説明できる |
用語集。
分野ごとに。
上の表に出てきた用語を、分野ごとにまとめ直しました。それぞれの見出しを押すと開きます。説明は「現場で使うための最短の定義」に絞っているので、正確な定義は各分野の教科書で確認してください。人名は、調べるときの手がかりとして添えています。
ティーチング・コーチングの用語(22語)
- ティーチング / コーチング
- 教える・示す(ティーチング)と、問いで引き出す(コーチング)。初心者・幼児・危険な局面はティーチング、上達するほどコーチングの比率を上げる
- スモールステップ / シェイピング
- 課題を小さく分けて1段ずつ成功させる。目標の動きに近づく反応を段階的に強化していく(シェイピング)
- プロンプト / フェイディング
- 成功のための手がかり(目印・補助・声)と、それを少しずつ減らすこと
- スキャフォールディング(足場かけ) / 発達の最近接領域
- 一人ではできないが助けがあればできる範囲(ヴィゴツキー)を狙い、一時的な支えを置いて外す
- 全習法 / 分習法 / 全体-部分-全体法
- 通しで練習する、分けて練習する、通し→部分→通しで練習する。危険な局面は分習、流れは全習
- KR / KP
- 結果の知識(できた・届いた)とパフォーマンスの知識(膝が内に入った)。KRは本人が見える環境を、KPは1つだけ
- 帯域幅フィードバック / 要約フィードバック / 自己統制フィードバック
- 一定の幅を超えたときだけ言う/数回まとめて言う/本人が求めたときに言う。いずれも「毎回言う」より学習が残りやすい
- 外的焦点 / 内的焦点
- 注意を体の外の結果・目印に向ける(外的)か、体の部位に向ける(内的)か。外的の方が学習・実行ともに良い結果が繰り返し報告されている
- ボディパートダイレクション
- PK Guildの用語。脳に説明せず、体に「それしかない命令」を与える指導
- 制約主導アプローチ
- 個人・課題・環境の3つの制約を調整して、望む動きが自然に出る状況を作る(ニューウェルの制約モデルが土台)
- アフォーダンス / エコロジカル・ダイナミクス
- 環境が行為を誘う性質/人・課題・環境の相互作用の中で動きが生まれるという見方
- 観察学習(モデリング) / デモンストレーション
- 他者の行動を見て学ぶ。見本は全体→1点→全体で見せる
- GROWモデル
- Goal→Reality→Options→Will の順で問う、コーチングの問いの型
- ティーチングスタイルのスペクトラム
- 指示型から発見型まで、判断の主体が指導者か学習者かで並べた指導スタイルの分類(モストン)
- リフレクション(省察)
- 行為のあとの振り返りと、行為の最中の修正(ショーンの「行為の中の省察」)
- 形成的評価 / 総括的評価
- 途中で調整するための評価と、区切りでの到達評価
- マネジメントレイヤー
- 下を育てる役割。新人の指導担当・研修担当・マニュアル作成・新教室の開講。自分の指導力をもっとも効率よく上げる立場
- 教えることで学ぶ効果(プロテジェ効果)
- 人に教えるつもりで学ぶ・実際に教えると理解と記憶が深まる現象。アウトプットの回数が指導を鮮明にする根拠
- 暗黙知 / 形式知
- 体が知っているが言葉にできないこと/言葉と手順になったこと。育てる側は暗黙知を形式知に変え続ける
- メタ認知 / シンクアラウド
- 自分の判断を一段上から観察すること/判断の最中に考えを声に出す方法。他人を育てるときにもっとも育つ
- 認知的徒弟制
- モデリング・コーチング・スキャフォールディング・発話・省察・探求の6つで技能を伝える枠組み
- PDCA / 仕組み化 / マニュアル化
- 計画→実行→評価→改善の循環と、属人的な判断を手順に落とすこと
運動学習(モーターラーニング)の用語(11語)
- 学習の3段階(フィッツとポズナー)
- 認知→連合→自動化。段階で指示の量と種類を変える
- 暗黙学習 / 明示学習 / 再投資
- 言葉で意識せずに覚える/手順を言葉で覚える/緊張時に手順を再点検して崩れる現象(マスターズ)
- 文脈干渉効果 / ブロック練習 / ランダム練習
- 課題を混ぜて練習すると練習中の出来は悪いが学習は残る(シェアとモーガン)。同じ技の連続がブロック、混ぜるのがランダム
- 変動練習 / 差分学習
- 条件を毎回変える練習/あえて違う動きで練習して最適解を探させる方法
- 分散練習 / 集中練習
- 休みを挟む練習と、詰めて行う練習。学習は分散の方が残りやすいことが多い
- 転移(正の転移・負の転移)
- ある練習の成果が他の課題で使える/邪魔になる
- 意図的練習(デリバレット・プラクティス)
- 目的・フィードバック・限界の少し上、を備えた練習(エリクソン)。量より質
- オーバーラーニング
- できた後も練習を続け、自動化とプレッシャー耐性を高める
- 認知負荷理論 / ワーキングメモリ
- 作業机を超える情報は学習を止める(スウェラー)。説明は短く1つずつ
- 二重課題干渉 / 中枢のボトルネック
- 同時に2つの判断を求めると片方が遅れる・抜ける。動きながらの言葉が届かない理由
- 閉鎖スキル / 開放スキル
- 環境が安定している中での技(体操の床)と、環境が変わる中での技(パルクールの街・コース)。開放スキルほど変動練習が効く
解剖学・運動生理学・発達・医学の用語(18語)
- 骨格筋 / 腱 / 靭帯
- 力を出す/筋と骨をつなぎバネとして働く/骨と骨をつなぎ関節を安定させる。強くなる速さは筋>腱>骨
- 関節可動域(ROM)
- 関節が動く範囲。足首・手首・股関節が狭いとケガをしやすい
- 成長軟骨(骨端線) / 骨端症
- 子どもの骨の端にある軟骨層/そこが傷む障害(シーバー病=かかと、オスグッド病=膝など)
- PHV(身長成長速度のピーク) / スキャモンの発育曲線
- 身長が最も速く伸びる時期/臓器系ごとの発育曲線。神経系は幼少期に早く成熟する
- 筋収縮の3種類(短縮性・伸張性・等尺性)
- 縮みながら/伸ばされながら/長さを変えずに力を出す。着地は伸張性
- 伸張-短縮サイクル(SSC)
- 素早く伸ばされてから縮むと大きな力が出る。踏み切りの正体
- 筋紡錘 / ゴルジ腱器官 / 伸張反射
- 筋の長さセンサー/腱の張力センサー/急に伸ばされた筋が反射的に縮む仕組み
- 固有受容感覚 / 前庭系
- 体の位置と動きの感覚/内耳の平衡感覚。バランス・着地・回転感覚の土台
- 運動単位 / 神経筋協調
- 1本の運動神経とそれが支配する筋線維の組/筋同士のタイミングを合わせる能力
- 運動連鎖(キネティックチェーン)
- 足→膝→股関節→体幹→腕と力が伝わる見方
- エネルギー供給系(ATP-CP・解糖・有酸素)
- 数秒・数十秒・長時間の運動を支える3つの系。疲労の見方の土台
- トレーニングの原則(超回復・漸進性過負荷・特異性・可逆性)
- 負荷と回復で強くなる/少しずつ増やす/鍛えた動きが強くなる/やめると戻る
- RAMP
- Raise・Activate・Mobilise・Potentiate。ウォームアップの構成
- DOMS(遅発性筋肉痛)
- 運動の1〜2日後に出る筋肉痛。伸張性の運動で出やすい
- RED-S / 女性アスリート三主徴
- エネルギー不足が体の機能に広く影響する状態/利用可能エネルギー不足・月経異常・骨密度低下の組み合わせ。成長期の指導者が知っておくべき概念
- 脳震盪 / 段階的復帰
- 頭部への衝撃による脳機能の一時的な障害/症状が消えてから段階的に運動へ戻す手順
- 熱中症 / WBGT
- 暑さによる障害/気温・湿度・輻射熱を合わせた暑さ指数。体育館でも起きる
- BLS / POLICE
- 一次救命処置/ケガの初期対応(保護・適切な負荷・冷却・圧迫・挙上)
バイオメカニクス(力学)の用語(10語)
- 力積と運動量
- 力×時間=運動量の変化。時間を長くすれば力は小さい(着地・ロール・マット)
- 床反力(GRF)
- 床が体を押し返す力。踏み切りと着地で最大
- 重心(COM) / 支持基底面(BOS)
- 体の質量の中心/足の裏などが作る支えの範囲。重心が基底面の上にあれば安定
- 慣性モーメント / 角運動量保存
- 回りにくさ/空中では角運動量が保たれるので、小さく丸めるほど速く回る
- トルク / 関節モーメント
- 回転させる力/関節にかかる回転の力。膝が内に入る着地が靭帯を痛める理由
- 投射運動
- 空中の体は放物線。飛距離は初速と角度で決まり、空中で軌道は変えられない
- 摩擦 / てこ
- 壁に足が止まる理由/手を支点にして体を運ぶヴォルトの原理
- スティフネス(剛性)
- 体のバネとしての硬さ。速さと衝撃吸収のトレードオフ
- 動的膝外反(ニーイン)
- 着地・踏み切りで膝が内側に入る動き。前十字靭帯損傷の危険因子
- 角速度 / 接地時間
- 回転の速さ/足が床に着いている時間。着地の質の指標
スポーツ心理学・発達特性の用語(17語)
- 自己決定理論(自律性・有能感・関係性)
- 自分から動き続けるための3つの基本的欲求(デシとライアン)
- 内発的動機づけ / 外発的動機づけ / アンダーマイニング効果
- 活動自体が報酬/ごほうび・称賛・順位/外発を使いすぎて内発が下がる現象
- 成長マインドセット / 固定マインドセット
- 能力は伸びるという信念/能力は固定という信念(ドゥエック)。過程を具体的に褒める
- 自己効力感(4つの源泉)
- できるという見込み。達成経験・代理経験・言語的説得・生理的状態(バンデューラ)
- フロー
- 挑戦と技能が釣り合い没頭する状態(チクセントミハイ)
- 目標設定(結果目標・パフォーマンス目標・過程目標)
- 順位/自分の記録/動きの中身。子どもには過程目標を
- 帰属理論 / 学習性無力感
- 成功・失敗の原因を何に求めるか/何をしても変わらないと学習してしまう状態
- 覚醒水準 / 逆U字仮説 / 個人差モデル
- 緊張・興奮の高さ/中間で最大という考え/最適範囲は人によって違うという考え
- 認知的不安 / 身体的不安
- 頭の中の心配/心拍や震え。対処が違う
- 段階的エクスポージャー / フリーズ
- 怖い対象に低い段階から慣れていく方法/恐怖で体が固まる反応
- 注意(選択的・分割) / 見えないゴリラ
- 必要な情報だけを拾う・複数に配る/注意が向いていない情報は見えていても意識に上らない現象
- セルフトーク / イメージ
- 自分への言葉かけ/頭の中で動きを再現する練習
- 心理的安全性
- 失敗しても責められないと感じられる状態(エドモンドソン)
- ピグマリオン効果
- 指導者の期待が相手の行動に影響する現象
- 社会的促進 / 集団凝集性
- 見られていると単純課題は良くなり難しい課題は悪くなる/集団のまとまり
- 発達性協調運動症(DCD) / ADHD / ASD
- 動きの協調の困難/注意と多動の特性/社会的コミュニケーションと感覚の特性。指示は短く・1つ・視覚的に、見通しを先に
- トラウマインフォームド
- 過去の経験が行動に影響している可能性を前提に関わる姿勢
パルクール・器械体操・トリッキングの競技知識の用語(25語)
- 技の6系統(パルクール)
- 着地・受け身/ジャンプ/ヴォルト/クライム/バランス・バー/フリップ系
- ヴォルト各種
- ステップ・スピード・レイジー・ターン・リバース・ゲート・ダッシュ・コング(モンキー)・キャッシュ。障害物を手で支えて越える技の総称
- プレシジョン / ストライド / プライオ
- 両足で狙った場所に止まる跳躍/片足→片足の大股の跳躍/連続した反発ジャンプ
- キャットリープ(アームジャンプ) / クライムアップ / ウォールラン / ティックタック
- 壁の縁に手でぶら下がる跳躍/そこから登る/壁を駆け上がる/壁を蹴って方向を変える
- ラシェ / アンダーバー
- バーからバーへ振り移る/バーの下をくぐり抜ける
- PKロール
- 前方へ勢いが余ったときの受け身。肩から背中を斜めに通る前転
- ブレイクジャンプ
- 自分の限界の少し上の跳躍を初めて成功させること。恐怖との付き合い方の象徴
- トレーサー / アール・デュ・デプラスマン / フリーランニング
- 実践者/「移動の芸術」/2003年に英語圏で生まれた呼称
- FLOW(流れ)
- 技の間の移動・リズム・緩急・空間の使い方を含む動きのつながり。流宴のFスコア
- 開放スキル / 閉鎖スキル(競技知識として)
- パルクールは毎回違う環境の開放スキル、体操は規格化された器具の閉鎖スキル。着地の思想(流す/止める)の違いの根拠
- 後方倒立回転跳び / 後方宙返り / 前方宙返り / 前方倒立回転跳び / 側方倒立回転跳び1/4ひねり
- バク転/バク宙/前宙/ハンドスプリング/ロンダートの正式名称
- 抱え込み / 屈身 / 伸身
- タック/パイク/レイアウト。回転中の姿勢の3種類
- 倒立(ハンドスタンド)
- 体操の土台。肩・体幹・手首で体重を支える。ヴォルトやウォールフリップに転移
- 段階練習(ドリル) / スティック
- 技を小さく分けた練習の体系/体操の着地で両足をそろえて静止すること
- Dスコア / Eスコア(体操)
- 難度・構成要求・組み合わせ加点/10点からの減点。国際体操連盟の採点規則
- 器械運動(学校体育)
- マット運動・鉄棒運動・跳び箱運動。小学校体育の領域。跳塾の教室はこの延長線上
- キック系 / フリップ系 / ツイスト系(トリッキング)
- 540・720・トルネード/ゲイナー・ウェブスター・エアリアル/Bツイスト・コーク・フルツイスト・ラズ
- ゲイナー / ウェブスター / エアリアル
- 片足踏み切りの後方宙返り/片足踏み切りの前方宙返り/手をつかない側転
- Bツイスト(バタフライツイスト) / コーク
- 横向きの回転にひねりを加えた技/片足踏み切りの後方回転にひねりを加えた技。PK GuildのWSの定番
- トランジション(スイングスルー・ポップ・パンチ・バニッシュ・キャリースルー) / スタンス
- 技と技のつなぎ方の名前/どの足で降りてどの足で入るか
- コンボ
- 技を連続させた一連の流れ。トリッキングの評価単位
- エクストリーム・マーシャルアーツ(XMA)
- 武術の演武から蹴りと宙返りが独立して発展した競技。トリッキングの源流
- チェックポイント(FIGスピード)
- 通過指定の障害物。飛ばしたまま完走すると失格
- 技表(Table of Tricks)
- FIGフリースタイルで難度を決める技の一覧。ジュニア用は2回宙系を除いた別表
- D難易度表(流宴)
- 0.1〜4.5点・15段階の技の難度表。上位2技の合計がDスコア
安全・倫理・事業の用語(6項目)
- スポッティング
- 補助。回転軸の近くを支え頭頸部を守る。技ごとに型がある
- リスクアセスメント / ハインリッヒの法則 / ヒヤリハット
- 危険の事前評価/1:29:300の経験則/事故未満の危ない瞬間の記録
- セーフガーディング / グルーミング / インフォームド・コンセント
- 子どもを守る組織的仕組み/信頼を利用した接近/説明のうえの同意
- 安全文化
- 記録・共有・改善が習慣になった組織の状態
- ファネル / コンバージョン率 / 継続率 / LTV
- 認知→体験→入会→継続の流れ/各段階で進む割合/続ける割合/1人が通う期間全体の価値
- 業務委託 / 確定申告
- PK Guildの講師の契約形態/一定の収入があれば必要になる申告
表より大事なのは、
毎週の習慣。
- レッスン後に3行書く ── 危なかった瞬間・嬉しそうだった子・次回変えること。「行為についての省察」を習慣にする
- 月1回、自分を録画する ── 言葉の量、「体の部位」を言った回数、止めている時間、声をかけていない子
- メンターを1人持つ ── 自分のレッスンを見て遠慮なく言ってくれる人。いなければ、録画を見せられる同業者を探す
- 自分の練習を止めない ── 週1回。「できない時期の体」と「怖さ」を忘れないため
- 3ヶ月に1領域 ── いちばん弱い領域を決め、本1冊・講習1回・論文3本。エビデンスの階層を意識して読む
- できるだけ早く「育てる側」に回る ── 新人のレッスンを見て言葉で返す、マニュアルを書く、研修を担当する。アウトプットの回数と「指導の顔」の数が、自分の指導力をいちばん速く上げる
- 用語を自分の言葉で言い直す ── 「外的焦点とは、つまり何か」を、保護者に通じる言葉で説明できるか。説明できない用語は、まだ使えない
- 3段階のマニュアルで育成 ── 楽しませる → 空気を操る → 上達させる
- 講師は全員が現役の実践者 ── フリトレで自分の練習も続けられる
- WS自主開催・パーソナル・新教室 ── メイン講師に段階的に解放
よくある質問。
全部を学ばないと指導者になれませんか?
なれます。PK Guildのアシスタント講師は未経験OKで、研修から始まります。この表は「本気で高みを目指す人」のための順番で、0〜3ヶ月の段階(安全・関係づくり・自分の実技)ができていれば、現場で楽しく働き始められます。
専門用語を覚えることに意味はありますか?
用語そのものより、用語が指す「現象」を知ることに意味があります。「外的焦点」という言葉を知らなくても良い指導はできますが、知っていると「なぜその指示が効いたのか」を再現できます。再現できる指導が、教えられる指導です。
スポーツトレーナー志望でもこの順番でいいですか?
いいです。トレーナー系資格の学習範囲(解剖学・生理学・トレーニングの原則)は2年目の表とほぼ重なります。資格の勉強と並行して現場に立つと、知識が動きと結びつきます。
本や講習はどう選べばいいですか?
段階ごとに「入門書を1冊通読」が基本です。各表の下に「読むなら」を添えています。研究を引用した本は、対象(何歳の誰が何人か)・期間・測定したものが書いてあるかを見てください。1本の研究で断定している本は、距離を置いて読みます。
期間はどのくらい厳密ですか?
目安です。週1回の現場を前提にしているので、週3回なら半分、月2回なら倍と考えてください。到達チェックが満たせていなければ、次へ進まず期間を延ばします。
PK Guildではこの通りに育成していますか?
骨格は同じです。研修 → アシスタント講師 → メイン講師の3段階マニュアルがあり、安全と「楽しませる」から始めて、「空気を操る」「上達させる」へ進みます。この表は、そのマニュアルの背景にある理論を、学びたい人向けに展開したものです。