パルクール施設を自分たちで作る|PK Guild(大阪・鶴見)ができるまでの制作記録

MAKING OF PK GUILD ── 施設ができるまで

この施設は、
手で作られた

大阪・鶴見のパルクール施設PK Guildは、既製のジムではありません。
何もない倉庫から自分たちの手で作り上げた、その記録です。

制作記録 写真でたどる 動画も公開予定
PROLOGUE ── なぜ、作ったのか

大技の練習は、
いつも体操施設だった。

この施設を作る前、私たちには長年の不満がありました。本気で練習できるパルクール施設が、ない。基礎の練習ならどこでもできる。でも、宙返りやひねりのような大技を安全に落とし込める環境──大型のピットマット──を備えたパルクール施設は見つからず、大技の練習はいつも体操施設を間借りしていました。

体操施設は素晴らしい環境です。ただ、そこはあくまで体操のための場所で、パルクールの動き──助走、壁、レール、そして技へ──を通しで練習できる設計にはなっていません。「パルクールに特化した施設に、大型のピットマットがあれば」。ずっと言い続けてきたその場所を、誰も作らないなら自分たちで作る。それがこの制作記録の始まりです。

先に断っておくと、私たちは建築のプロではありません。パルクールとアクロバットのプロが、練習場所への要求水準だけを頼りに作った施設です。その分の遠回りも、途中で起きた災難も、この記事では隠さず書きます。

01
第一章 ── 何もない倉庫

始まりは、
がらんどう。

工事前の何もない倉庫(PK Guild制作記録・大阪市鶴見区)
DAY 0 ── 工事前の倉庫

最初の姿はこれです。天井の高い、がらんどうの倉庫。壁もない、受付もない、もちろんピットもバネ床もない。あるのは「ここをパルクール特化の施設にする」という計画と、体力だけでした。

この天井の高さと床面積が、この物件を選んだ理由です。宙返りにも、壁への挑戦にも、空間の余白が要る。それ以外はすべてこれから作ればいい──そう思える程度には、私たちは楽観的でした。この時はまだ。

第二章 ── ピット。この施設の心臓

掘って、漏れて、
また作った。

この施設の存在理由が、大型ピットです。大技の練習を体操施設に間借りしなくていい未来は、この穴にかかっていました。床を掘り抜き、巨大な穴を作る──施設制作で最大の工事であり、最大の投資でした。

床を掘り抜いて作ったピットマット用の巨大な穴
PIT ── 掘り抜いたピットの穴

そして、災難はここで起きました。数百万円をかけたピットの穴から、大量の水漏れ。掘った穴に水が入り込んでくるという、施設の心臓部を直撃する事態です。ピットは失敗を受け止めるための場所であって、水を溜めるための場所ではありません。

修復には、また数百万円と、多大な時間がかかりました。穴の中に潜っての工事の日々。正直、制作期間でいちばん心が折れかけた時期です。それでも、この穴を諦めることは「体操施設の間借りに戻る」ことと同じだったので、選択肢にはなりませんでした。

ピットの穴の中で進む工事
PIT ── 穴の中での工事

いま、このピットの上では毎日、子どもも大人も安心して失敗しています。あの水との戦いを思うと、その光景だけで元は取れている気がします。

完成した大型ピットマット(5m×6m)
NOW ── 完成した大型ピット 5m×6m
第三章 ── 骨組みの日々

木材と、
終わらない採寸。

大きな木枠のフレームを組む工程
RECORD ── 骨組みを組み上げる

ピットと並行して、施設の中に「建物」を建てていきます。骨組みを立て、水平と垂直を出し、構造を固める。パルクール施設の造作には「人が跳んでいい強度」という特殊な要求があるので、見えなくなる骨組みほど手を抜けません。

日常はだいたいこうです。朝、木材と金物を買い出しに行く。昼、採寸して切って組む。夕方、図面と現物のズレに気づく。夜、翌日のやり直しの段取りを考えながら掃除して帰る。古い建物は床も壁も完全な水平・垂直ではない──教科書に書いていないこの事実に、序盤でだいぶ授業料を払いました。

第四章 ── 壁を張る

合板と脚立と、
高所の日々。

壁の下地と骨組みの施工
RECORD ── 下地を組む
長梯子を使った高所での壁面作業
RECORD ── 梯子の上の作業
施工が進み壁で覆われていく施設内
RECORD ── 壁が伸びていく

下地を組み、合板を張り、また下地を組む。壁一枚にも「跳んでいい壁」「駆け上がっていい壁」としての強度が要るのがこの施設の特殊なところです。天井近くの作業は脚立と長梯子の往復で、この時期に人生分の梯子を登った気がします。

地味な工程ですが、施設の信頼はぜんぶここに仕込まれています。「この壁、登っていいよ」と子どもに言えるのは、その壁の中身を自分たちが知っているからです。いまこの施設のどの壁を叩いても、中に何が入っているか即答できます。

05
第五章 ── ギルドの「顔」づくり

受付は、
酒場カウンターにした。

RPGの酒場のように作り込んだ受付カウンター
GUILD ── 酒場カウンターの受付

ここがこの施設のいちばんの道楽です。受付を、RPGの酒場のようなカウンターにする。その上には、ツリーハウスのような小屋を載せる。機能だけを考えれば要らない造作ですが、扉を開けた子どもの第一声が「なにこれ!」になるかどうかは、ここで決まると思っていました。

冒険者ギルドの受付でクエストを受けて、今日の練習という冒険に出る。そういう物語の入口として、この一角だけは徹底的に作り込みました。図面と現物のあいだで何度もやり直した、時間のかかった章です。

第六章 ── 仕上げ

少しずつ、
「あの施設」の顔になる。

完成に近づいた施設内の様子
ALMOST ── 完成が見えてきた頃
ほぼ完成した受付小屋のエントランス
ALMOST ── 受付小屋、ほぼ完成

最後は細部の積み重ねです。建具を入れ、塗装をし、飾りをつけ、掃除をして、また掃除をする。写真で見ると変化は地味ですが、この時期のビフォーアフターが一番、作った本人たちには沁みます。がらんどうだった倉庫に、通ってくれる人の顔が想像できるようになってきたからです。

看板を掛け、照明の色を決め、最初のマットを敷いた日のことはよく覚えています。誰もいない施設の真ん中で試しに跳んでみて、「ここはもう練習場だ」と確認した──制作記録としては、その日が一区切りでした。

最終章 ── 完成

倉庫は、
ギルドになった。

そして、完成です。がらんどうだった倉庫は、パルクールとアクロバットの専用施設になりました。第一章の写真と、いまの姿を見比べてください。

完成したPK Guildの施設全景(大阪市鶴見区のパルクール・アクロバット専用施設)
COMPLETE ── 完成した施設の全景

この一枚に、ここまでの全章が写っています。水と戦って作り上げた大型ピット。跳ぶために張り続けた壁。そして扉の先には、あの酒場カウンター。それぞれの現在の姿がこちらです。

大技の練習のために体操施設を間借りしていた日々は、ここで終わりました。パルクールの動線の中に、失敗を受け止めるピットがある。作る前に「あれば」と言い続けてきた環境が、いまは自分たちの足元にあります。

MOVIE ── 制作過程の映像

動画でも、
残しています。

この制作の記録を、1本の動画にまとめました。がらんどうの倉庫が施設になるまで──この記事の全章を、映像でどうぞ。

EPILOGUE ── そして、いまも

完成した。
でも、終わっていない。

こうしてPK Guildは開業し、いまは毎日この床の上でレッスンをしています。

ただ、正直に言うとこの施設に「完成」はありません。レッスンで子どもたちの動きを見ては配置を変え、新しい練習のアイデアが出ればセクションを組み替える。自分たちで作った施設だから、自分たちで進化させ続けられる──それが、あのとき「作る」を選んだ一番の見返りだと思っています。

この手作りの施設は、大阪市鶴見区横堤・横堤駅徒歩3分にあります。作った本人たちが毎日レッスンをしているので、見学がてら「ここ、どうやって作ったんですか」と聞いてもらえたら、たぶん喜んで長話をします。水漏れの話は特に長いです。

FOLLOW ── ギルドの公式アカウント

この施設の「いま」は、
SNSで発信中。

この制作記録の続き──完成した施設の日常は、各アカウントで発信しています。Instagramでは練習風景とイベント告知(ストーリーズが最速です)。YouTubeでは技の動画やレッスンの様子を公開していて、この記事の制作過程の動画もここに上がる予定です。そして公式LINEは、体験・見学・ご質問の窓口です。

手作りの施設で、
お待ちしています。
体験レッスンは現在無料です。横堤駅から徒歩3分、この記事の施設で。見学だけのご来場も歓迎です。
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